ウクライナチャリティコンサート写真

I need you, you need me.
We’re all a part of God’s body.
ゴスペルソング”I Need You to Survive”より

大好きなゴスペルソングに、”I Need You to Survive(あなたに生きて欲しい)”という曲があります。「私があなたを必要としているように、あなたも私を必要としてほしい」という歌詞です。理由は以下の歌詞に続きます。

「We’re all a part of God’s body=私たちはみな、神の身体の一部だから。」

トゲが指先にチクッと刺さったら、身体全体に痛みを感じます。身体の一部が痛むとき、身体全体が痛みを覚えます。同じように、あなたの苦しみや辛さが、自分のことのように感じるという歌です。

チャリティとは一体何でしょう。コンビニやスーパーのレジ付近に置いている寄付ボックスにお金を寄付することや、災害支援に寄付することは、もちろんチャリティです。私たちができる一番身近な方法でしょう。

また、「チャリティコンサートで演奏してきた!」という言葉も耳にします。自分の練習した演奏で相手を励ますこともチャリティと呼べるかもしれません。

でも私は時折、お金を出しただけ、歌を披露しただけで良いのかなと悩んでしまいます。

「チャリティとはもしかして、一方的に何かを届けるだけでなく、相互に助け合うことも大切なんじゃないかな?」

「困っているウクライナの人だけが弱いのではなく、実は届ける側の私にも弱さがあって、ウクライナの人に助けられる必要があるんじゃないかな?」

チャリティとは辞書でこのように説明されています。

《キリスト教》愛 ◆神および神の愛の対象としての自身や隣人に向けられる無償の愛。◆Charityとも表記される。
英辞郎on the WEB

キリスト教的愛、無償の愛とは、見返りを求めない犠牲を伴う愛のことです。犠牲とは、「自分が持っているものを見返りを求めず差し出す」ことでしょう。

そこでチャリティとは何かを自分なりに(偉そうに)言うとするなら、「相手の痛みを『相互に』自分と同じように感じ、お金だけでなく自分の時間、もの、技能など全てを『相互に』犠牲にすること」でしょうか。

実際に今回、ウクライナ避難民の方々には、沢山助けていただいたのです。

1. ウクライナの方々に助けてもらったこと

(1) チラシデザイン

まず一つ目に助けてもらったことは、チラシデザインです。

20231014ウクライナ チャリティコンサート

実はこれ、コンサート後半にピアノを弾いたクリスティーナが描いてくれた絵です。

麦畑に、青い空です。

クリスティーナからは直接聞いていませんが、これはウクライナの国旗を意味しているはずです。ウクライナの国旗は、下が黄色、上が青色の二色構成で黄色は麦畑を、青色は空を意味しています。

もしくは、クリスティーナが思い出す懐かしいウクライナの風景なのかもしれません。

このデザインは、今回のイベントに終わらず、聖書のことばと共にポストカードとして販売され、継続的にウクライナの人を助けるグッズへと進展しました。

(2) “Prayer for Ukraine”の作者発見作業

二つ目に助けてもらったことは、ウクライナの皆さんと演奏した曲”Prayer for Ukraine”の作者を発見することです。今回のコンサートに相応しい曲がないかネットで探していたところ、こちらのYoutubeに出会いました。

動画タイトルは、「アムステルダムの路上でウクライナ人が歌うクリスチャンソング」です。

英語の字幕を見ると、ゴスペルソングそのものでピッタリ!

早速、作者に演奏許可を取ろうと作者を探してみました。「動画で演奏している男性だろうか?」と思い、Youtubeの情報からその男性を探すことはできました。しかしメールを送っても、返信がありません。

「もしかして別に作者がいるのかもしれない。」

ウクライナから日本に避難したカテリーナという女性がいます。彼女は今回のコンサートで、ブルガリアに避難したお母さんや、ウクライナに残って戦争で闘っているお父さんの話をしてくれました。
カテリーナは、私のためにゴスペルソングをウクライナ語に翻訳してくれたり、私がウクライナ語を読めないことを知っているので、その発音を音声で録音して送ったりしてくれました。

彼女にこの曲の作者を捜したいと相談したところ、「はい、この人です!」と、あっという間に作者を捜してくれたのです!

その方は、ウクライナ人の作者「クリスティーナ・ザガリナ」さんでした。

私は早速、”Prayer for Ukraine”の作者ザガリナさんにコンタクトを取ってみることにしました。

すると、作者のザガリナさんもウクライナ人で、現在はドイツの教会で賛美奏楽者として活動しているクリスチャンとのこと。

なんという神の導き!

以下、ザガリナさんから届いた返信の一部をご紹介します。

こんにちは、Nobuhisa Kinashiさん!

メッセージをありがとう。私の曲に興味をもってしかも探してくださったこと、とても興味深く思います。

私は音楽家の家庭に生まれ、3歳から演奏を始めました。14歳のときに新生して(クリスチャンとなって)、両親は音楽バンドで宣教の働きを始めました。

実はそのとき、この曲を書いたのです。ちょうど1993年のことでした。私が学校にいたとき、この歌詞”Prayer for Ukraine”が浮かび、ちょうど前日に作っていた曲と合ったのです。

なぜウクライナについての歌詞だったのか今ではわかりません。(汗)

でも、ウクライナ語と日本語でこの曲をいつか一緒に歌いませんか!?

Kristina Zagarina

カテリーナの助けにより作者のザガリナさんと出会い、またザガリナさんも私たちの痛みを受け止め共感してくださったのです。

いつか、共に演奏する時が与えられるかもしれません。

演奏"Prayer for Ukraine"
演奏 "Prayer for Ukraine"

(3) “Prayer for Ukraine”の演奏

ウクライナの人たちに助けてもらった三つ目は、”Prayer for Ukraine”をコンサートで一緒に演奏してくれたことです。

ピアノを弾いてくれたのは、チラシをデザインしたクリスティーナです。彼女は、毎日のバイトや勉強で忙しい中、ピアノを練習してくれました。
そして先ほどのカテリーナに加えターニャ、ソーニャ(ターニャの娘)も一緒に歌ってくれました。

3人とは事前に一緒に歌の練習したものの、オンラインで行ったため音の確認がほぼできないまま。残念だけど、「当日リハーサルをしてみて、ダメだったら私(NOBU)だけが歌うことにする」と打ち合わせていたのです。

そして迎えた当日のリハーサル。

マイクを握り堂々と歌っている三人の姿に、ウルっと涙。

きっと歌うことが苦手な人もいたと思います。音が外れたらどうしようとか不安だったと思います。
でも、自分の身体を用いてこのチャリティコンサートに関わってくれたそのチャリティ=犠牲の姿にとても感動しました。

お客様の中にも、この”Prayer for Ukraine”の曲が一番心に残ったという方がおられました。歌や演奏の技術よりも、演奏側の心が聞き手の心に届くのですね。

スタッフの皆さん
寄付のためにグッズ販売をするスタッフの皆さま

2. 関係者の皆さんに助けてもらったこと

今回は私だけでなく、オンラインで練習しているUnknown Singersの皆さん、ARTOSのゴスペルクワイアの方々も協力してくれました。
そして全ての出演者が参加費を支払い、イベントの一部として加わりました。

中には、新幹線を使って参加してくださった方も! その方に話を聞いたところこのように答えてくださいました。

「自分の持っているものは、神さまから全て与えられたもの。だから少しでも役に立てられるならお返ししたいと思って参加することにしました。」

さらに複数名の方から、「自分は当日参加できけないけれども参加費を支払いたい」と、事前に参加費を支払ってくださった方もおられました。

他にも受付、通訳、事前の会場・イベント準備、音響、撮影などなど。身体の中に目で見えない部分があるように、目に見えない労苦を担ってくださった方々。

チャリティとは、“We’re all a part of God’s body”を互いに実感する場なのかもしれません。

引き続き、ウクライナ避難民の方々へのサポートを継続していきましょう。

ウクライナチャリティコンサート写真

ウクライナ・チャリティコンサート
2023年10月14日(土)本郷台キリスト教会にて
出演:Unknown Singers、ARTOS Gospel Choir、カテリーナ、クリスティーナ、ターニャ、ソーニャ、通訳サムエル、NOBU(鬼無宣寿)

チャリティ結果:10月18日、入場料¥2,000×135名(出演者含む)=270,000円を、横浜市栄区に避難しているウクライナ戦争難民の方々へ寄付いたしました。

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