My Story
2026年1月23日にリリースしたCD『MY STORY』についてセルフライナーノーツ(解説)を記す。
 
レコーディングで最も気にかけたことは、「transparency=透過性」だ。
聖書のことばを等身大の自分を通じ透過させることを目指した。
 
どれだけカッコいいテンポだとか、コード進行だとかではない。
またどれだけ自分が完全な信仰をもっているかを示すことでもない。
 
その曲にどんな聖書のことばが込められているのかを探り、今の自分がどう思うかに重点を置いた。
 
そこでレコーディングの際、A4サイズ歌詞の横の空白に聖書のことばを書き込んだ。
歌詞ではなく、聖書のことばをじっくり見ながら弾いたり歌ったりした。
誰かに届けるCDではなく、まず自分が神と向き合うことにした。
 
 
1曲目の「聖なるかな-ZUM SANCTUS(SCHUBERT)-」は、『讃美歌』という讃美歌集に収録された曲だ。
礼拝の冒頭部分で神を讃える曲として用いられることが多い。
無知な自分はこの讃美歌が、かのシューベルトが作曲したものだと後になって気がついた。
 
シューベルトは、1827年(1826年という説も)、Deutsche Messe(ドイツ語ミサ曲)を書いた。
「ZUM SANCTUS(聖なる方へ)」は、その5番目に位置する。
歌詞は(CDジャケットを参照)、聖書の一番最後の書「黙示録4章8節」が元になっている。
 
聖なる、聖なる、聖なる、主なる神、全能者。
黙示録4章8節
 
黙示録4章には、天の様子が記されている。そこには4つの生き物が登場する。エゼキエル書10章にも現れるその生き物はケルビムとも呼ばれ、神に仕える存在だと言われる。
 
黙示録4章8節のすぐ後には、24人の長老たちが登場する。長老たちは自分たちの冠を投げ出し、ひれ伏す。
偉大なる神の前で自分たちは小さい存在だと言わんばかりに。
 
天においてそのような礼拝や賛美が捧げられているのに、私はどんな気持ちで賛美を捧げているだろう。
CDを作るために賛美をしているのか。
毎週日曜日の行事だから賛美しているのか。
自分の心が満たされるから賛美しているのか。
それとも、この長老たちのように、自分が神の前に小さい存在として認め、ひれ伏すかのように賛美をしているのか。そんなことを考えされられた。
 
 
2曲目は、『讃美歌21』という讃美歌集に収録されている「輝く日を仰ぐとき(How Great Thou Art)」だ。
詩を書いたスウェーデンの牧師カール・ボバーグは、偉大な自然を前にしてどれだけ神が大きい方かを感じた。自分がどれほど神の前に小さく、そして愛されているかをも感じたようだ。
 
歌詞は旧約聖書の「詩篇8編3、4節」を想起させる。
 
人とは何ものなのでしょう。
詩篇8篇4節
 
詩篇8篇を書いたダビデも、月や星を見て自然の大きさを感じた。
この美しい月や星を見てごらん。一体だれがこれらを創造できるだろうか。
しかもその創造主である神が、私を気にかけているという。
人とは一体、何ものなのでしょう。
 
私たちも、偉大な自然を前にしてその自然を崇拝するのではない。
自然や私たち人を創造された、聖書の神を讃えるべきだと思う。
 
 
3曲目は、「His Eye is On The Sparrow(一羽のすずめに)」だ。
クリスチャンでこの曲を好む人は多く、映画『天使にラブソングを2』の中でもローリン・ヒルが歌っている。
 
私の信仰の友、Rahelに歌ってもらった。彼女の賛美は聞く人の心をすぅっと包み込むようで、いつか一緒に録音したいと願っていた一人だ。この話を持ちかけたとき、彼女はこの歌詞と似た状況だったそうだ。
これから先のことへの不安がある。どういう歩みをしていけば良いのかわからない。
 
イエスはマタイの福音書6でこう語られる。
 
空の鳥を見なさい。種蒔きもせず、刈り入れもせず、倉に納めることもしません。それでも、あなたがたの天の父は養っていてくださいます。あなたがたはその鳥よりも、ずっと価値があるではありませんか。
マタイの福音書6章26節
 
神は一羽のすずめさえも気にかけておられる方。私たちは何を恐れ続ける必要があるだろうか。
Rahelの歌声から、生きた彼女の信仰と聖書のことばが透けて聞こえてくる。
 
 
5曲目の「Precious Lord, Take My Hand(慕いまつる主なるイエスよ)」は、ゴスペルの父と呼ばれたトーマス・ドーシーが書いた賛美歌だ。トーマスは、妻と子どもを失い悲しみに暮れていた。もう神のために働くことなんてするものか、そうも思っていた。しかしある日の午後、彼はピアノに座った。そして大好きな讃美歌Maitlandに合わせこの詩を歌ったとか。
 
イントロで鳴る鈴の音は、カーテンが風で揺れる様子を表している。トーマスがピアノの前に座り、その音を聞きながら神に祈るよう歌う様子を私は勝手に想像した。
 
この曲の背景にある詩篇5篇を書いたダビデも、「私のことばに耳を傾けてください。主よ」と神にうめいた。
 
私のことばに耳を傾けてください。よ。
私のうめきを聞き取ってください。
詩篇5篇1節
 
ダビデの詩篇を読みながら、私の心にもうめきがあることに気がついた。
自分の過去を振り返り、自分の罪が押し寄せてきた。
またこれからの将来、神の計画に対して不安もおそってきた。
私のうめきを聞き取ってください。
 
神は、ぐるぐる揺れる私のために犠牲をとるという方法をとられた。
イエスをこの地に送られ、人の罪を背負うために十字架にかけたのだ。
神がいると言いつつも、自分中心に生きようとする私のために。
自分を神のように考え、神に敵対して生きようとする私のために。
 
完全とは程遠い自分の信仰に直面しながら、トーマスとダビデの心に寄せて賛美した。
 
 
7曲目は、「いつまでですか」というピアノ曲だ。信仰の友である佐々木潤とは、青山学院大学でも何度か演奏をしている。レコーディングは、彼が所属している教会「柏グローリーチャペル」で行われた。
彼の音には謙遜と信仰の熱さを感じる。佐々木潤にしか出せない賛美の音がそこにある。
慌ただしい荒波が小川のせせらぎのようになる。
潤が踏むピアノのペダル音も聞いてほしいので、できればヘッドホンで聞くことをおすすめする。
 
この曲の背景には、旧約聖書のハバクク書があげられる。
旧約聖書に登場する人物ハバククは、神から立てられた預言者だ。預言者とは、未来を予告する人ではなく、神のことばを預かり、人に告げる者のこと。
 
ハバククは、神にこう叫ぶ。
 
いつまでですか、主よ。
私が叫び求めているのに、あなたが聞いてくださらないのは。
ハバクク書1章2節
 
ハバククは、人々に神に立ち返るよう語った。
しかしそれでもなお、いつまでも神を神としない世の人々に悲しみを抱き神に叫んだのだ。
 
私にも同じことがあった。
知人が聖書に興味を持ち始めた。日本の慣習に疑問を持ち、聖書の世界に惹かれ始めたからだという。
私はその方の変化にとても嬉しく思った。ところが次に会ったとき、その方は占いの勉強を始めたというのだ。
 
「人それぞれで別に良いじゃないか」と思えば良いのだろう。
でも私はその人のことが大切なゆえ、ハバククのような気持ちが湧いてきた。
なんと人の心は移り変わりが激しいのかと悲しくなった。
 
いつまでですか、主よ。この日本の地で、人々があなたを知るのは。
 
 
 
最後の8曲目「Don’t Be Afraid(おそれないで)」は、オリジナルの賛美歌だ。
レコーディングの準備をしていた頃、礼拝のメッセージで新約聖書マルコの福音書5章36節の話を聞いた。
 
恐れないで、ただ信じていなさい。
マルコ5章36節
 
イエス・キリストが語られた「信じる」ということばは、聖書の中で244回も出てくるそうだ。
信じるとは、ただがむしゃらに崇拝することではない。相手を信頼することだ。
 
自分の小さな知恵ではなく、ただ神を信頼しなさい。
あなたを煽る世のニュースに恐れ続けるのではない。
あなたを諭し導く変わらない神のことばに信頼し続けなさい。
 
礼拝中にふと涙が流れ、14年前に与えられたオリジナルの賛美歌が口にのぼってきた。
 
“Don’t be afraid, just believe.”
 
CDに収録するから賛美をするのではない。
礼拝での生きた賛美を収録したいと思わされた。
 
聞いてくださるお一人おひとりに、聖書のことばが透けて届くことを願いつつ。
 
 
 

1. 聖なるかな -ZUM SANCTUS(SCHUBERT)- 『讃美歌』546番
作詞:Johann Phillip Neumann、作曲:Franz Schubert、
訳詞:由木 康、英語詞:不明、日本語訳:鬼無 宣寿、聖書:黙示録4章8節

2. 輝く日を仰ぐとき(How Great Thou Art)  『讃美歌21』226番
作詞:Carl Boberg、作曲:スウェーデン民謡、Stuart Hine、Okänt ursprung、
訳詞 中田 羽後、英語訳:Stuart Hine、日本語訳:鬼無 宣寿、聖書:詩篇8篇3-4節

3. His Eye Is On The Sparrow (一羽のすずめに) 
歌:Rahel、ピアノ:鬼無 宣寿
作詞:Civilla D. Martin、作曲:Chas. H. Gabriel、
日本語訳:鬼無 宣寿、聖書:マタイの福音書6章26節、10章29-31節

4. MY STORY 01

5. Precious Lord, Take My Hand (慕いまつる主なるイエスよ)
作詞:Thomas A. Dorsey、作曲:George N. Allen and Thomas A. Dorsey、
日本語訳:鬼無 宣寿、聖書:詩篇5篇1-3節、申命記31章6節

6. いつまでですか
ピアノ:佐々木 潤、作曲:鬼無 宣寿、編曲:佐々木 潤、聖書:詩篇10篇4節、ハバクク書1章2節

7. MY STORY 02

8. Don’t Be Afraid (おそれないで)
作詞・作曲:鬼無 宣寿、聖書:マルコの福音書5章36節

価格¥2,200(税込)


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