笑い声の絶えない講座があります。
落語研究でも、お笑い芸人育成でもありません。
讃美歌を歌う講座です。
「待ってください。讃美歌は、神を讃える伝統的な音楽ですよ!」
はい。その通りです。
でも、この講座では笑い声があふれているのです。
私はその様子を否定的に言っているのではありません。むしろ、肯定的です。
受講される皆さんが、笑顔で讃美歌を歌う姿を見ると、私まで笑顔になります。
ただ、一体なぜ、こんなにも笑い声が絶えないのでしょう。
そうか。
もしかしたら、一曲に挑戦することは、「登山」と似ているのかもしれません。
山に登る道は、決して楽な平坦な道ではありません。足元は凸凹しているし、石ころを踏んでバランスを崩すこともあるでしょう。頭の高さに伸びた木の枝や葉をくぐり抜けなければならないこともあります。
決して楽な道ではないはずです。
ところが不思議なことに、特に友人と一緒に目標である「てっぺん」を目指すとき、「はぁ、はぁ」と息を切らしながらも、笑い合っているのです。
しんどいはずなのに、なぜか笑顔が湧き上がってくる。
道の途中で腰を下ろし、お茶を飲みながら会話するひとときもあるでしょう。
汗を拭きながら、会話が弾みます。
凸凹した道のこと。道端で見つけた花のこと。そして、どんな思いでこの山登りに挑戦しようと思ったのか。
そんなことを語り合うでしょう。
自分を振り返り、心と体を落ち着かせる大切なひとときです。
そこからさらに登り続けると、ようやくてっぺんが見えてきます。
「お、お、おお!!」
期待が、思わず声になってしまうでしょう。
とうとうここまで来たんだという自分への励ましと、てっぺんへの期待感が一気に高まる瞬間です。
讃美歌講座で歌っている人たちも、同じような山道を通ります。
まずは人数や声のバランスを見ながら、三つのパートに分かれます。
声の高い順に、ソプラノ、アルト、テナーです。
ソプラノは高い声を出す必要がありますが、メロディーラインを歌うことが多いため、比較的音を取りやすいでしょう。
アルトは高すぎず、低すぎず。しかし、ソプラノとテナーに挟まれているため、他のパートにつられやすい。
テナーは低い声が得意な人に向いていますが、自分のパートを覚えるまで少し苦労するかもしれません。
上がったり下がったりする音程は、凸凹した山道のようです。
バランスを崩して、音程が外れることもあるでしょう。
他のパートの音を聴きながらも、つられないように歌わなければなりません。
でも、「完成」という同じてっぺんを目指しているからこそ、息を切らしながらも笑い合っているのです。
途中で腰を下ろし、歌詞の意味を考えるひとときもあります。
この歌を歌っている人は、どんな大変な道を通ってきたのだろう。
背景にある聖書には、どんな意味が込められているのだろう。
そして、今を生きる私たちは、どんな思いでこの讃美歌を歌うのだろう。
そんなことを思い巡らす時間です。
そして、全員が「せーの」で歌い始める。
最初から最後まで、ハーモニーがうまくいったときは、めちゃくちゃ盛り上がります。
「お、お、おお! できた!」
そんな歓声が上がります。
目標に近づいたという喜びが、一人ひとりの表情にあふれます。
言葉にしなくても、その喜びが全員の共通言語になるのです。
試練を分かち合うとき、笑顔が湧き上がってくる。
倒れそうになる人を、誰かが支える。
歌詞の背景にある作者の苦しみを、一緒に分かち合う。
そして「てっぺん」を見て、歓声を上げる。
そう考えると、この講座に笑い声が絶えないのも、不思議なことではないのかもしれません。
山登りのように、一歩ずつ、一緒に進んでいるからです。
……。
講座名を「19時だよ! 全員集合!」に変えようかと、今、真剣に悩んでいます。
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【1回トライアル】いつか歌ってみたかった~讃美歌編~
9月25日(金)19:00〜20:30